岡垣町で「ちたる農園」を営んでいる神谷愛と申します。
ちたる農園園主「神谷 アイ」のプロフィール↓
今回は
岡垣町の水が危ない!!ってことについてお話します!!
これを聞いてびっくりされた方もおられるのではないでしょうか。
でもご安心ください!
今まさに危険というわけじゃなくて、この先何十年後もきれいな地下水が汲み上げれるかはわからないよ!
というお話です!!
Contents
岡垣町の自慢はきれいな地下水
福岡県岡垣町は水資源が豊富で、町の水道水の85%を地下水でまかなうほどです。
この地下水を求めて近年ではクラフトビール工場や酒蔵が建設されたり、移住してくる人も多いんです。
間違いなく岡垣町の自慢、でも、、、、
いつまでもあると思ったら大間違い
なのでは?と感じてます。
きっかけは稲作をはじめるために、上流域の田んぼを借りたことです。
そこは山からの一番水が注ぐ最上流域の田んぼなのですが、その時初めて「水」について深く考えることになったんですね。
んで、上流域の方とコミュニケーションを交わしながら、昔と今の水量や水質の違い、放置竹林問題、大雨の土砂災害について生の声を聞くことができました。
その結果、岡垣町の水、このままじゃ危ないんじゃね??と思ったわけです。
なぜ危ないと思ったのか、その理由を2つ説明するよ!
森林の荒廃による保水力の低下
岡垣町の地下水は宗像市との境にある四塚連山が源流です。
城山・金山・孔大寺山に降った雨が長年の歳月をかけて地下の岩盤に浸透し、濾過されきれいな水となって下流に注いでます
ただ、近年水量が減っているそうです。
地下水の量がどうやってわかるの??
地下水の量は表層を流れる小川の水量に比例します。
つまり川の水量が豊富なら地下水の量も豊富というわけです。
その川の水量が20年前に比べ、明らかに減っている
というのが上流域の住民の意見です。
例えば上高倉区を流れる「ちたる川」の源流に近いKさんと話す機会がありました。
Kさんは60年以上この地区に住まわれている方で、Kさん曰くちたる川は昔洗濯ができるほど水量が豊富だった、しかしここ20年くらいで一気に水量が少なくなった。
今は洗濯どころか水の流れもとぎれとぎれになっている。
とのこと。
もちろん地下水の減少だけが原因じゃないです、例えば
- 三面コンクリート護岸
- 砂防ダムの設置
- 水脈の変化
などの要因もあります。
しかし、表層の水量が減っているのは事実で
田んぼに水が引けないほど水量の少ない年が増えているという事態が起きています。
だからこの先も地下水が豊富なままと思わないほうがいいかもよ。ってことです。
山水を使う機会の多い上流域の住民だから異変に敏感なのね!
Kさんは続けてこう言いいました。
大雨が降ると鉄砲水が起きるようになった。
鉄砲水(てっぽうみずとは、山地や中山間地の小流域などで発生する急激な出水や増水。
出典: wikipedia
これは山の状態を知る上で重要なサインになります。
なんのサイン、、、?
それは
水を蓄える力が弱くなっているサイン。
健全な森林は大雨が降っても、その水を蓄えることができ、蓄えた水を少しづつ下流に放流することができます。そして水が地中に浸透し、地下水になるわけ。
でも、蓄える力が弱くなると、大雨が降る一斉に下流へ流れるのです。
岡垣町の山は 放置竹林や伐採期を過ぎた杉、桧林が多く目に止まります。 一度手の入った森林は必ず人の手を入れなければ環境を維持することができません。
定期的に木を切っていないと地表に光が届かず下草が生えなくなり更新がストップします。
山の保水力は広葉樹の落ち葉などが腐葉土となり、そこに保水力が生まれます。
源流域にある祖父の竹林に行ったときに思ったのは、
あたり一面「竹」しか生えてない多様性のない森林でした。
地表付近は薄暗く、下草は一切なし、土が露出している状態です。
なるほど、ここに大雨が降れば、雨水とともに、土ごと流され、土砂災害が起きやすい状態ってのも納得できます。
宮崎県綾町の旧町長、郷田実さんの言葉
「山が死ぬと水が死ぬ、水が死ぬと川が死ぬ、川が死ぬと海が死ぬ」
これに全てが集約されてるのではないでしょうか。
農薬や化学肥料による水質汚染
地下水の水質は地表の環境に左右されます
つまり地表が汚染されていれば地下水も汚染されるということです。
汚染の代表格は化学物質。
化学物質といっても様々な種類がありますが、
その中でも広く、大量に地表を汚染しているものといえば、農地に使われる
農薬・化学肥料・除草剤
耕作面積の広い岡垣も例外ではない、、、??
岡垣町総面積は430ha、そのうち農地は102haで約4分の1が農地なんですね。
この中には休耕田や耕作放棄地も含まれますし、農薬、化学肥料を使ってない農地もあるので、これより少なくなりますが、全国平均に比べれば多いです。
んで、農薬や化学肥料はほとんど分解されないんですよね(ここ重要)
だから長い年月をかけ少しずつ浸透していき、いつか必ず地下水に到達します。
岡垣の地下水は100年以上かけて硬い岩盤に濾過され作り出されるのですが、濾過されない危険性もあるのですね。
地下水の汚染は全国的な問題
地下水の汚染は全国的に問題になってます。
都会だけじゃないのね、、、
一時期、梨園の化学肥料が原因で民家の井戸水から基準値オーバーの硝酸態窒素が検出されたというニュースが話題になりました。(岡垣じゃないです)
日本の浄水技術は世界屈指なので、上水道の整備された都市部ではあまり話題にならないかと思います。
逆に、地下水の使用率が高い田舎の方こそ注意が必要なのかもしれませんね。
水を守るための岡垣町の取り組み
令和5年1月9日、岡垣町の山林で大規模な山火事が発生しました。
金山の源流付近の枯れ竹が燃え広がったのですが、じつはのエリア、町の事業で竹林を広葉樹の森に変える取り組みを行っているんです。
山桜や銀杏などの広葉樹を植えることで多様性を取り戻し、森を豊かにしてるんですね。
すでにそういった取り組みをおこなっているなんて、自然を大切にする岡垣町ならではだと思います!!
未来への投資ね!
また「人間と野生動物の棲み分けを創出する緩衝林整備」への取り組みもおこなわれており、荒廃林の整備を積極的に推し進めてます!
岡垣町の地下水が危ないのまとめ
地下水が危ない2つの理由は
- 森林の荒廃による水量の低下
- 農薬・化学肥料・除草剤による水質汚染
です。
きれいな地下水が一番のウリである岡垣町、
でも、「いつまでも綺麗な地下水があるわけじゃない」
水の恩恵を享受し続けるには、水を守る取り組みが必須です。
どんな取り組みをすれば、、、?
例えば
農薬化学肥料削減の町
というキャッチフレーズで、水を大切にしてるんですよ!っていう取り組みを、岡垣町から発信してはどうか?
なんて思ってます。
「自然と共生する町」宮崎県の綾町のように、できるだけ環境に負荷をかけない取り組みはとても参考になります。
少しでも水に意識を向ける人が増えることで、自然豊かな岡垣町を守り続けることができればいいですね。
ちたる農園の紹介はこちら
それではかしこー!
ええーっ!! どうゆうこと??